コミュニケーションのない世界を想像するのは難しいだろうから、人間が持つ最大の知的特性は、口頭でも文章でもコミュニケーションする能力である。

文字による証拠がない限り、人類の言語の起源をたどることは不可能だが、儀式用の美術品や工芸品など、「文明」の最初の証拠が発見された10万年前から5万年前の間に、人類の歴史において重要なことが起こったことはわかっている。

にもかかわらず、人類の系譜の中で最初に話し言葉が出現したのはいつなのか、正確に確認することはできない。

当時使われていた言語のうち、現在話されているものはひとつもないが、そのうちのいくつかは、現在の言語のいくつかの初期形態であると考えられている。

世界最古の言語は？

アッカド語は記録に残る最古の言語で、シュメール語と密接な関係にあった絶滅した東セム語（現在のセム語はヘブライ語、アラビア語、アラム語）である。

アッカド語は、紀元前2334年から2154年にかけてメソポタミア文明の重要な中心地であった都市アッカドまたはアカドにちなんで名づけられたが、アッカド語はアッカドの建国よりも古い。

アッカド語は紀元前1世紀から3世紀の間に消滅する以前、バビロニアやカルデアなどメソポタミア諸国の母国語だった。

アッカド語を書く

アッカド語はシュメールの楔形文字を文字として用いたが、このシステムはこの言語の特徴に十分適応していなかった。

実際、文字には当初、表意文字が使われていた。表意文字とは、言葉や音ではなく、考えを表す記号のことで、そのため、どの言語でも技術的に理解することができる。

しかし、このシステムが発達するにつれて、シュメール人の書記は、その言葉が言語でどのように聞こえるかに基づいて、音節の値を符号に割り当てた。

たとえば、口の絵は「か」という単語を表し、したがって、この記号は「か」という音節を含むあらゆる単語の音節を表すことができる。

言語の普及

アッカド人はセム系民族とともに北方からメソポタミアに到着した。 シュメール語のテキストに記録されている最古のアッカド語の固有名詞は紀元前2800年のもので、少なくともその頃にはアッカド語を話す人々がメソポタミアに定住していたことを示している。

楔形文字を使ったアッカド語で書かれた最初のタブレットは紀元前2400年のものだが、紀元前2300年以前には、アッカド語を文字にしたものは見当たらない。

こうして、サルゴン1世によってアッカド帝国が形成されると、この言語の重要性と文書での使用は増大し、1000年以上にわたってメソポタミアで支配的な言語となった。 これに伴い、アッカド語はシュメール語の使用を法律や宗教文書に追いやった。

さらに、エジプトのファラオとヒッタイトの王たちは、アッカド語を用いてコミュニケーションをとっていたと考えられている。 エジプトの役人たちも、シリアの家臣たちとのやり取りでアッカド語を用いており、エル・アマルナで発見された手紙の多くもこの言語で書かれていた。

アッカド語はいつ絶滅したのか？

アッカド語は紀元1千年初頭に消滅したため、その音韻に関する既知のデータはすべて、古くないセム系言語の情報をもとに楔形文字を解読して再構築された。

古代メソポタミアで発見された楔形文字には、人々の生活に関する情報だけでなく、科学的、数学的な情報も含まれている。

アッカド語がどのような言語であったかを想像することができるのは、およそ300年にわたって収集されたこのデータのおかげなのだ。